筑前琵琶 大藪旭晶





筑前琵琶曲には明治の中期以降に作られた曲がおよそ600曲あり
そのうち最も多いのが、平家物語に題材を求めた曲で、80曲ほどあります。
次いで多いのが、戦国時代(およそ60曲)そして明治時代、南北朝・室町時代
(それぞれ約40曲)幕末もの、赤穂浪士、宗教家ものなどはそれぞれ約30曲
その他源氏もの、鎌倉時代、外国もの(例えば あ
無情/ユゴー作)
怪談、お伽もの、滑稽もの、謡曲、浄瑠璃、民謡など
多岐にわたる題材から作曲されています。

数多い曲の中には、運命の儚さなど普遍的なものを詠った優れた曲もあり
多くの人々に共感を持って受け入れられてきました。
今では古典とも言えるこれらの曲は、これからも歌い続けていかれることでしょう。
私もその普遍性を大切にし、さらに研鑚していきたいと思っています。

そしてまた、今に生きる者として、創作曲にも
力を入れて参ります。

課題のひとつに、言葉の問題があります。
音と一体となって感受されるべき〔語り〕への理解が
古語、文語、掛け言葉などの難しさのために
 妨げられている、という側面があります。
共感して頂ける現代の言葉による
今を表現する曲作りにも、取り組んでいきたいと思います。



曲名をクリックしてお聴きください。

1.春琴抄(1992年)
谷崎潤一郎氏のご遺族に限定付のご了解をいただき、友人小川旭蒼氏
に詞を提供していただいて作曲しました。
筑前琵琶曲に従来から用いられてきた旋律を使わないで作曲をしたい、
との強い意識がありました。それを形にすることができ、そしてこの物語
についての私の想いを表現できたのではないかと思っています。
2.器楽曲〈かい〉・開・解・快・海・界・戒・・・KAI (1995)
社会に様々な出来事が起こり、自身も何かにとらわれたような状態にあり
何とかしなければ、との想い、脱出したい切り開きたい、との想いがこの曲
を作曲させました。
3.クリスタル・スオミ(1995年)
フィンランドを旅した時の自然の印象を器楽曲の小品として作曲しました。
スオミとは、フィンランド語でフィンランドの国そのものを指す言葉です。
        雪解けの小川と突然芽生える新緑の春
        躍動のミッドサマー トナカイのダンス
        色とりどりの木の葉の揺らめき
        舞い降りるクリスタルの輝き
4.朗読琵琶〈桃太郎(1996年)
作曲の前年に移り住んだ奈良県田原本町黒田は、弥生時代の大きな遺跡
があるところでした。古事記にイサセリヒコノミコトの記述があり、これがいわ
ゆる桃太郎のモデルとされています。黒田はその生誕の地であるとの話を
聞き、また自宅に大きな桃の木が二本あったことに促されて作曲しました。
(当時黒田の郷には自宅の庭以外に桃の木はありませんでした)
バラード風の旋律にのせて、やさしいぬくもりと、平和への祈りを込めて
います。
5.瀬田の決戦−壬申の乱より(1998年)
万葉集にある、高市皇子尊の死を悼んだ柿本人麻呂の、長い挽歌を素材
に 田原本町在住の秀麻呂氏が作詞をしてくださったもので、激しい戦いの
後のむなしさ愚かしさを詠ったものです。
6.朗読琵琶・耳なし芳一(1999年)
小泉八雲原作の短編集〔怪談〕から、〈耳なし芳一のはなし〉を琵琶にのせ
て朗読し、中に琵琶歌〈壇の浦〉を挿入したものです。
7.いろは歌(2002年)
旋律がある日突然浮かんできました。そして、清水公照師の〔いろは童女〕
の絵を見た時、やはりこの曲は(いろは歌)にふさわしいのではないか、と
確信に近い思いがしました。
8.壇 の浦(2003年)
朗読琵琶〈耳なし芳一〉の中に挿入した曲を、独立の一曲として編曲した
もので、平家物語の原文を抜粋したものに若干の詞を加えています。
船戦と二位の尼が安徳帝を抱いて入水するくだりに焦点をおいて、構成
作曲をしています。
9.朗読琵琶・鳥取の蒲団のはなし(2003年)
小泉八雲の作品のひとつ。恐ろしい怪談話の背後に、幼い兄弟の悲しい
運命が隠されていた、という物語です。
10.野辺の草・妓 王(2004年)
創作曲の題材として以前より心にあり 「龍野と平家物語」シリーズ開催を
機に取り組みました。仏御前の高揚と発心、妓王の悲嘆、そして女性達の
安心の境地 それぞれの表現を歌謡の旋律に込めました。  
11.琵琶のこころ・心の旅(2004年)
琵琶に託すおもいを、バラード風の曲にしました。
12.朗読琵琶・小豆島の尾崎放哉(2008年)
孤高の自由律俳人・尾崎放哉ゆかりの 小豆島の西光寺で演奏の機会を
頂いたのをご縁に、「放哉」南郷庵友の会の井上泰好氏の歌詞を得て、
作曲しました。
13.八朔のひな祭り〜室津しおり姫物語〜(2009年)
古くからの港・室津に伝わる姫君の悲劇を、賀茂神社の岡悦子さんが作詞
されました。最も輝く婚礼の日に非業の死を遂げた しおり姫の無念と、以後
400年に亘りひな祭りとして祭り続けてきた 室津の民の優しさを表現したい
と思い 曲付けをしました。
 
14.朗読琵琶・竹取物語より 蓬莱山の巻(2010年)
数年前に、あるお寺での演奏後の懇親会で 竹取物語について色々とお話し
を伺ったことがあり、いつかこの物語について琵琶歌にしてみたいと思って
いました。御津中学校での公演の機会を頂き、原文と現代語そして琵琶歌
を交えた曲として創作し 初演することが出来ました。

15.幻の蓬莱山(2010年)
朗読琵琶〈竹取物語より 蓬莱山の巻〉の中に挿入した短い曲。
竹取物語の中の〔蓬莱の玉の枝〕の物語の舞台となる蓬莱山は、実際には 
存在しない伝説上の霊山です。

16.明石(2010年)                                       
母・旭寿の友人で歌人・山本勝子さんが源氏物語〔明石〕の章を基に作詞
してくださいました。            

17.鹿の夢(2012年)
播磨の各地に残る〔鹿〕の話しの一つに曲付け。   鹿の夫婦の悲劇を 短い
朗読琵琶としたものです。 

18. 朗読琵琶・海士男狭磯(あまおさし)のこと(2012年)        
淡路や明石に伝わる昔ばなし。 明石海峡に潜って神に捧げるため大きな
鮑貝の桃色の真珠を採ってきた阿波国の海人のお話。その功績により淡路
では「石の寝屋古墳」 明石では「海人塚」が建てられたという。
 

19.朗読琵琶・わがふるさと赤穂の子たちへ(2012年)
ふるさと赤穂の殿様をはじめ義士たちや 吉良の家臣たち 多くの人々の死を
いたみ これからの世を作っていく子たちの健やかな成長を願って つくられた
花岳寺ご住職の作詞。 朗読と合唱そして琵琶歌でのコラボレーションでも
演奏できるように創作しました。

20.親鸞聖人(2008〜2011年)
                                                      
   20−1 〈粟田口〉 青蓮院における慈鎮和尚のもとでの得度のご様子
   20−2 〈板敷山〉 稲田の草庵に押し入った山伏弁円の悔悟と帰依
   20−3 〈西洞院〉 京都三条富小路の善法坊における御往生   


21.新曲大江山(2013年)
大江山の鬼退治は源頼光が有名だが播磨国総社に縁りの平井(藤原)保昌
も活躍したようです。20年に一度の総社の「三ッ山大祭」の記念行事の一環
として演奏の機会をいただき 新作として初演いたしました。

22.朗読琵琶・くもの糸(2013年)
芥川龍之介原作の〔蜘蛛の糸〕を琵琶歌にと 以前からあるお寺のご住職に
すすめられていましたが ようやく意欲が湧き起こり取組みました。

23.朗読琵琶・米子城騒動(2014年)
伯耆国18万石の城下町米子に 慶長8年に起こった大騒動を 朗読と琵琶で
描く。 米子の町の礎を築いた城主中村一忠と重臣横田内膳の家中を巻き
込んでの事件。内膳方に味方をした柳生五郎右衛門の活躍の様子を描く。




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